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海外ミステリー~著者名索引
このミステリーがすごい! 2010年版 海外編 第10位
ミレニアム三部作
【感想】
読み終わってしまって、残念です。
三部作となってますが、4作目の未完草稿は残っているそうですね。
全世界で2千万部売れた、、という売り文句に乗っかって読んでみました。
翻訳小説を、久々に夢中になって読んだな~という感想です。
自分の中で、ジェフリー・ディーヴァーとデニス・ルヘイン以来のヒットでした。
ファンタジーのジョージ・R・R・マーチン以来かな。
二作目のラスト、頭に銃弾の弾が残ったまま瀕死の状態で、ミカエルに発見されるリスベットのその後が、めちゃくちゃ気になってました。
本書冒頭、リベットは、無事救出され、病院にヘリコプターで搬送されます。
ところが、例の人物も一緒の病院で、しかも病室はすぐそば。
殺しあった者同士を、同じフロアに収容するか?普通。。
でも、それまでリスベットのほうが指名手配の殺人犯として追われていて、例の人は、ようやくその存在を認知され始めたばかりなので、周囲の無警戒はしょうがない。
ゆっくりと回復していくリスベットを、読者はハラハラしながら見守るしかありません。
それにしても、よくまあ、頭に銃弾を受けて助かったものです!
ところが、病院に、例の組織から、恐ろしい刺客がやってきちゃいました。
その展開には、意表をつかれました。その覚悟の程が、逆に怖い。
隆々とたくましくいかにも刺客という人物ではなく、、というのが、ソ連のKGBと渡り合ってきた組織の、ダークで強固な根の深さを感じます。
一方の、救出したミカエルは、早速リスベットの元に駆けつけて、無事仲直りするのかと思いきや、その後、無能な警官に手錠をはめられ足止めされる。解放後、病院に行っても面会出来ないならと、まったく足を向けずに、リスベットの力になるべく奔走する。それでいて自分は美人警官とヨロシクなってしまうという、、あいかわらすのミカエル。。でも憎めないミカエル。
いわゆる常套的でない、なにかと意表を突かれる展開が、新鮮なのかも。
いよいよの、リスベットの法廷対決、リーガルシーンも大盛り上がりでした。
題名の「狂卓の騎士」は「アーサー王伝説」の”円卓も騎士”にひっかけたものようです。
つまり、リスベットの無実をはらすべく立ち上がる人々のこと。
【このミステリーがすごい より】
本格、ノワール、謀略・・・ミステリーの要素あふれる三部作、完結
よく三部作といわれるが、生前作者はさらなる続編を用意していたという。なのでラーソンの意図した終わり方ではないが、『ミレニアム』はこの第三作でピリオドとなる。前作の幕切れで品詞の重傷を負いながら、九死に一生を得たリスベットだが、彼女が巻き込まれた事件が明るみに出る事で過去の悪事が暴かれる公安警察の特別分析班は、彼女の口を封じるために動き出す。やや乱暴な括りだが、最初が本格、次がノワール、そして三作目の本作は謀略、リーガルという趣向が読者を待受ける。ミステリーとして盛りだくさんなだけでなく、すぐれた現代性、社会性も備えた『ミレニアム』は、まさに現代ミステリーの奇跡だった。作者の死が残念でならない。
『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』
『ミレニアム2 火と戯れる女』
『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』
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